覚せい剤依存症の治療
覚せい剤依存症になると、専門的治療が必要ですが、日本の治療体制は極めて不十分です。幻覚や妄想状態のような覚せい剤精神病に対しては、一般精神病院での治療が可能ですが、覚せい剤を止めたくても止められないという覚せい剤依存症に対しては薬物療法はほとんど効果がありません。安易に睡眠薬や精神安定剤などを投与すると、逆に処方薬の乱用や依存を起こす危険があります。実際に覚せい剤乱用に加えて処方薬乱用を合併している患者さんは少なくありません。
残念なことに、日本には薬物依存症の専門病院はほとんどありません。薬物依存症はアルコール依存症と似ているので、アルコール症専門医がこの種の相談を受けることが多いのですが、薬物依存症患者はアルコール症患者より手がかかり、トラブルを起こしやすく、回復率も良くないので、治療を断る専門医も少なくありません。当院を強制退院にする患者の紹介先を探すときにはいつも苦労します。