翌日、目が覚めるとまだ5時。ただ頭も心もスッキリしていている。
最近の日課だった床に足をつけて痛みがあるかの確認。痛みはなく、安心して立ち上がりカーテンを開ける。
空は晴れ渡り、その青が眼に飛び込んでくる。
せっかくなので散歩でもしようと思い、スウェットを着て外に出た。
空気が澄んでいて、静かな町並み。心が洗われるようで今日一日の活力が生まれてくるようだ。
僕はこの街が見渡せる高台の公園まで歩いてきた。
僕は小さな頃からこの場所が好きだった。
空が近く感じるこの場所が。
ふと街の方を見ると、開発事業のため至る所で工事が行われているのがわかる。
それでも山に囲まれているこの街には緑も多い。
『ここにしよう…。』
そう考えながら再び歩き出した。
いつも通り塁と登校していると、後ろから声をかけられる。
振り向くと、奈々未姉ちゃんと麻衣姉ちゃんの姿が。
響「おはよう麻衣姉ちゃん。珍しい、何かあった?」
塁「奈々姉おはよう。」
麻「まぁね、響最近随分と私の親友泣かしてくれてるじゃない。だからお仕置きしなきゃと思ってね。」
ヤバい、久々に黒石さんの顔だ。普段は対真夏さん用の表情なのに。
塁「確かに奈々姉の目少し赤いね。」
響「イヤイヤ勘弁してよ。僕悪いの?」
麻「奈々未のカラダ見たんでしょ?」
響「はぁ?」
塁「何だよ姉弟でいかがわしい事でもしたのか?」
響「してないから。」
麻「奈々未に聞いたけど?」
ますます黒い麻衣姉ちゃんとニヤニヤしている奈々未姉ちゃん。
響「…何で弟を売るかね。何したか知りたいの麻衣姉ちゃん?」
麻「そうよ、白状しなさい。」
響「分かった。…じゃあ麻衣姉ちゃんに実践してあげる。」
麻「えっ?!」
僕は麻衣姉ちゃんに近づく。驚いた麻衣姉ちゃんは後ずさりしたが、後ろは住宅の壁。
僕は右手を麻衣姉ちゃんの顔のすぐ横に付く。いわゆる壁ドンという状態に。
そして顔を近づけ、
響「キスしてもいい?」
と耳元で囁いた。
麻衣姉ちゃんの白い肌が真っ赤になるのが分かった。
それを確認すると素早く離れ、
響「そんな事するわけないでしょ。」
そう言って振り返るとプク顔の姉と、笑いを堪えている塁。
塁「やるなぁ響。そう言えば俺が教えたんだっけ?」
響「そう、まさかこんなところで使うとは思わなかったけど。」
奈「ちょっと響?」
響「元はと言えば、奈々未姉ちゃんが悪いだろ?何麻衣姉ちゃんに吹き込んだのさ。」
奈「あ、いやある事ない事色々……とね。」
響「概ねない事ばっかりでしょ?」
塁「…おい、響。後ろ。」
響「えっ?」
振り向くと黒石さんどころではないくらいの黒いオーラが漂う麻衣姉ちゃん。
マズい、そう思い振り返って走り出そうとした瞬間、後頭部に衝撃が。その物体は麻衣姉ちゃんの鞄。
麻「ひ・び・きく〜ん〜?」
響「…あの…ごめんなさい!!」
必死に謝りました。土下座までして…。
僕にヤキ入れた後、先に学校へ向かった姉達。
いつもよりみなみちゃんの家に着くのが遅くなり、
み「何かあったの?ひどい顔してるよ?」
響「はは、…大丈夫。…多分。」
塁が小さな声で
塁「麻衣姉、モテるけどオトコ慣れしてないからな。俺は面白かったけど。」
…面白くないわ。悪ふざけもほどほどにしよう。
麻衣姉ちゃんだけは怒らせないようにしよう…そう心に誓った朝だった。










