あれから一週間。相変わらず松葉杖での生活だったが、流石に今日からは自分で歩く事にした。
いつもより早めに家を出て学校に向かおうと玄関を出ると、みなみちゃんの姿が。
昨日LINEで『運動がてら歩こうと思ってる。』とやり取りをしていたが、まさか家にまで来てくれるとは思ってなかった。
み「おはよう響君。」
響「おはよう。ごめんねわざわざ家まで。」
み「みなみが来たかっただけだから。」
響「…ありがとう。やっぱりみなみちゃんと一緒じゃないと何か違和感あったしね、この一週間。」
み「みなみも寂しかったから…嬉しい。」
響「じゃあ行こうか。あまり早く歩けないから時間がかかるしね。」
み「うん。」
久々の一緒に歩く登校。何気ない、いつも通りが何より幸せに感じた。
思い通りに動けないことや、稽古に参加出来ないストレスが溜まっていた事もあって、少し沈んでいた気持ちも、たったこれだけの事で洗い流せた気がする。
授業も終わり、部活の時間。
この一週間僕は飛鳥の監視の下、足を使わない素振りや筋トレ中心のメニューを行っていた。
みんなが稽古をしている中、早くみんなと一緒に稽古に参加したい気持ちが強くなっているが、今野先生の厳命を受けた飛鳥は決して足に負担のかかる事をさせてくれなかった。
響「飛鳥、そろそろ…。」
飛「ダメ。」
響「ちょっと話を聞いてもらえない?」
飛「ダメ。…響のためだよ。試合に万全で出たいなら我慢して。」
響「はい…。」
丁度休憩に入った祥太君が寄ってきて、
祥「おう響。嫁に尻に敷かれてるな。お前の未来が見えるようだな。」
響「いやいや、勘弁してよ祥太君。澪と未央奈に比べたら全然でしょ。」
澪「俺関係ないだろ。別に尻に敷かれてないから。」
塁「社会の課題やるのに未央奈に助けてもらってたろ。すっかり頭上がらなくなってたし。」
澪「余計な情報を流すな。」
響「お礼にデートする事になってたよね。」
澪「さあ、水飲んでこよ〜っと。」
格技場から逃げ出す澪。
日芽「祥太君、ちょっと良い?」
祥「ん?どうした日芽香?」
日芽「さっき稽古中にかずみんのお尻触ったでしょう?」
祥「は?いや、わざとじゃないし偶然ぶつかっただけ…。」
日芽「あの手の動き方は違うでしょう?」
祥「日芽香、ちょっと落ち着いて。あっち行って話をしようか。」
僕らから離れていく2人。
遠征後に正式に付き合い始めたらしい。
響「…祥太君。」
塁「…大変だな。」
飛「…ひめたんああ見えてしっかり者だからね。」
そんなこんなで部活も終わり、外に出ると僕達を待っているみなみちゃんと未央奈の姿が。
しかし今日は、僕の横には飛鳥がいる。ちなみに塁の両隣にはちはると日奈子も。
やや不満そうな顔をするみなみちゃん。
僕の方に寄ってくると、
み「お疲れ様〜。飛鳥ちゃん後はみなみが。」
飛「い〜え。あたしが家まで面倒見ます。」
響「ちょっと2人とも……」
み、飛「響(君)は黙ってて!」
響「…はい。」
2人のやり取りは中々収まらず、もう2、3分ほど続いている。困った顔をしていると、
澪「いつまでもはっきりしないお前が悪い。じゃあお先。」
未「じゃあね。澪の言ってる事は今回ばかりは正しいよ。」
そう言って先に帰る2人。さらに、
塁「俺らももう行くわ。じゃあ。」
ち「お先〜。」
日「あしゅバイバイ。」
と先を行く3人。
仕方ないし、何だか嫌な気分になったので、
響「そんな顔してる2人は可愛くない。そんな顔見たくないから今日は1人で帰る。じゃあ。」
と動き出すと
み「待って響君。ごめんなさい、もうしないから。」
飛「ごめん。」
と神妙な顔でそばに駆け寄ってきた2人。でも返事をせずに歩く僕。
しばらく無言で歩き続けたが、流石にこの空気のまま帰るのも嫌なので、
響「…だからってそんな顔も見たい訳じゃないから。…僕も悪かった、ごめん2人とも。」
そう言うと何かほっとした表情を見せた2人。
その後は何気ない会話をしながら帰路に着いたが、さっき澪に言われた言葉が僕の頭の中で何度も繰り返されていた…。










